転職前の不安はほとんど杞憂だった。5年前の自分に言ってやりたいこと


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転職前の不安って、いくつか種類があると思うんだけど、振り返るとそのほとんどが杞憂だった。

「年収が下がったら生活できないかもしれない」「市場価値がなくて採用されないかもしれない」「転職してもまた合わないかもしれない」。コンサルを辞めようかと思っていた26歳のころ、頭の中にあった不安を全部書き出したら、3ページくらいになった。

今も相談を受けていると、あのときの自分とそっくりな不安を話してくれる人に定期的に会う。


「年収が下がったら生活できなくなる」

生活できなくなることは、なかった。

フリーランスになった最初の半年で収入がゼロの月もあった。年収900万台から大幅に下がって、「月収が半分になったら」と想像すると怖かった。でも実際には、毎月の固定費を削れるだけ削った。でも「生活できなくなる」ことはなかった。人間の生活コストって、思ったより柔軟だ。収入が下がった中で組み直すことは、想像していたより全然できた。

今は年収が戻っている。というより、「自分は収入の変化に適応できる」という事実を知ったことの方が、長い目で見て大きかった。お金より、そっちの自信の方が資産になった気がしている。

「市場価値がなくて採用されないかもしれない」

面談を始めてみると、拍子抜けするくらい普通に進んだ。

コンサルのブランドがない自分に何があるのか、まったく見えなかった。「どこの会社にいるか」と「自分が何者か」をごっちゃにして生きてきたから、ブランドを手放したら何も残らないと怖かった。でも、コンサル経験は思っていた以上に評価されたし、「専門性がない」と感じていた部分も、別の言い方をすると「特定業界に縛られていない汎用性」だという見方ができた。自分の価値を自分で正確に測ることは、ほぼ不可能だと思う。外側からどう見えるかを知るだけで、不安の半分くらいは消える。

「転職してもまた合わないかもしれない」

「何のために転職するか」を言語化できていれば、合わない確率はかなり下がる。

一番怖かったのはこれだった。「次の会社も、いつかまた『なんか違う』になったらどうしよう」。コンサルを辞めたかった本質は「誰かに感謝される距離で働きたい」だと、転職活動を通じてようやく言語化できた。その軸で選んだから、今の仕事が合っている。漠然とした「なんか違う」のまま動くのは確かにリスクが高い。でも言語化してから動けば、絞り込める。その言語化を手伝ってくれるのが、転職エージェントとの面談だったりする。


転職前の8ヶ月で学んだこと

転職を迷っていた8ヶ月の間、自分で何をしていたかというと、ほとんど「心配し続けることで時間を使っていた」だと思う。

ノートに書いた不安リストは、3ページになった。でもその3ページ、全部「転職してみて初めて確認できること」だった。転職前に解決できる問いが、ほぼ一つもなかった。今から考えれば当たり前のことなんだけど、当時は「もっと情報を集めれば不安が消えるはず」と思っていた。情報を集めるほど「こういうケースでは失敗するかもしれない」という情報も増えて、余計に動けなくなっていた。

一番効いたのは、転職エージェントに一度話を聞きに行ったことだった。コンサル経験が外からどう評価されているかを聞いてみて、「思ったより普通に話が進む」という感覚を持てた。頭の中の不安が、少し具体的になった。「転職前の不安は杞憂かどうか」という話とは少し違うけど、不安を頭の中だけで回し続けるより、一歩動いてみると答えが出やすくなる、というのはこのころ初めて実感した。

転職しない方がいい、というパターンもある

ここまで「不安は杞憂だった」と書いてきたけど、正直に言うと、転職しない方がよかったケースも相談の中で見てきた。

一番多いのは「今の会社でやれることを試し切っていない」状態で動いてしまうパターン。不満の原因が上司の個性によるものなのに、それを確かめないまま転職して、次の会社でも同じ不満が出てくる、というケースがある。

もう一つは「転職先を決めずに辞める」こと。収入のバッファなく辞めると、焦りが判断を狂わせる。経済的な余裕がある状態で転職活動を始めた人の方が、結果が良いことが多い。

「転職前の不安はほとんど杞憂」というのは本当だと思っている。ただ、「何から逃げたいのか」より「何に向かいたいのか」を少しでも言語化してから動いた方が、転職後に後悔しにくい。それだけは言える。

杞憂じゃなかったもの

正直に書くと、一つだけ杞憂じゃなかったことがある。

「思ったより孤独になる」ということ。コンサルというブランドがあったとき、それだけで話が通じた文脈があった。転職後はその文脈がなくなって、「どこから来た人」ではなく「何ができる人」として一から証明していく必要があった。それは想像以上にしんどかった時期がある。

でも、そのしんどさの中でようやく「自分が何で信頼を積み上げていくか」が見えてきた。ある意味それが、転職後の一番の収穫だったと思っている。不安が全部杞憂じゃなかったとしても、経験した現実は手触りがあった分、対処できた。頭の中の不安より、実際の現実の方が怖くなかった。


不安を「可視化」してみる価値

今でも相談に来た人に、転職前に不安を書き出すことを勧めることがある。

リストアップしてみると、「転職前に解消できる不安」と「転職してみないと分からない不安」が分かれる。前者は今すぐ調べたり確認したりすることで減らせる。後者は、転職する前に解消しようとすること自体が難しい。その分類ができるだけで、頭の中で全部の不安が同じ重さで渦巻いている状態から、少し整理される。

「年収が下がったらどうしよう」は、今の支出を計算して半年分の貯金が確保できるかを確認すれば、ある程度解消できる。「市場価値があるかどうか」は、エージェントに一度話を聞いてみると分かる。これらは転職前に動ける類の不安だ。

一方で「転職してまた合わないかもしれない」は、どこかに転職してみるまで答えが出ない。その事実を受け入れた上で、「合わない確率をできるだけ下げる動き方」を考える方向に力を使った方がいい。向き合い方の問題なんだと思う。

5年前の自分に言えるとしたら「転職前の不安のほとんどは、転職してみないと答えが出ない問いだ」と言いたい。

転職前に想定できる最悪のシナリオは、経験した最悪より大抵ひどい。ぐるぐると頭の中で心配していた8ヶ月より、一歩踏み出した後の3ヶ月の方が、ずっと早く整理がついた。転職エージェントに登録して話を聞いてみること。一社だけ面談を受けてみること。そういう小さい一歩が、頭の中の不安を「経験した現実」に変えてくれる。現実の方が、たぶん怖くない。

「転職前の不安がなくなったら動く」ではなく、「不安がある状態で動いてみる」を選んだこと。それが今の自分につながっている気がしている。


転職前の不安を「解消しなければ動けない」と思っていると、一生動けない。完全に解消することはないし、解消してから動く必要もない。「不安がある状態で動くこと」が、転職の普通の姿だと思っている。不安をゼロにしようとするより、「転職しない理由」が「転職する理由」を上回っているうちは動かない、という判断基準の方がシンプルで使いやすい気がしている。5年前の自分に伝えるとしたら、そういうことを言ってやりたい。

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Syun

早稲田大学ラグビー部出身。大手外資系コンサルを経て、32歳でフリーランスのキャリアコンサルタントとして独立。サウナとルーティンをこよなく愛する。

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