キャリアチェンジ後の年収回復。下がった収入は、どう戻っていったか
キャリアチェンジ後の年収回復について、正直に書いておきたい。
この話、「どうすればよかったか分からなかった」という時期が長かったから、うまく整理できるか自信がない。でもたぶん、同じ不安を持っている人がいると思う。
コンサル時代の年収は900万円台だった。キャリアコンサルタントへ転身してから最初の1年は300万円台。ゼロの月もあった。スーパーで値段を見て、買いかけたものを棚に戻すことが普通の生活になった。
最初の1年は、とにかく生き残った
キャリアコンサルタントになりたての頃、相談料をもらうことがまず怖かった。
個人で名刺を渡して「時間をもらえますか」と頼んで、話を聞いて、少しでも役に立てたらまたご縁があれば、という感じで動いていた。今考えると、ビジネスとして成立させようという意識が薄すぎた。「助けたい」と「対価をもらう」が頭の中で繋がっていなかった。
副業でアフィリエイトも試した。半年で50本ほど書いて、月の最高収益が1200円だった。Uber Eatsも1ヶ月やったけど、回復に使う時間が削られてやめた。どれも「これだ」とはならなかった。でも相談の仕事だけは続いた。それが答えだったんだと思う。照れくさいけど。
年収が変わってきたのは「何を届けるか」が見えてから
転身から2年目ごろ、数字が少しずつ戻り始めた。何かを変えたというより、「この人の役に立てる」という確信が積み重なってきた感覚が近い。転職を迷っている人・年収が下がることを怖がっている人・30代でキャリアを変えようとしている人、相談の層が見えてきた。自分の経験と重なる人に一番届けられると気づいてから、何か噛み合い始めた。
フリーランスに独立したのは30歳。その頃から、単価と件数が少しずつ安定してきた。「回復させなければ」という感覚がいつの間にかなくなって、気づいたらコンサル時代の数字を超えていた。数字を目標にしていなかった時期に、という感じが一番近い。
「年収を取り戻す」という目標設定が、たぶん正しくない
正確に言うと、「何のために稼ぐか」が変わった。
コンサル時代の年収は高かったが、使いみちに困っていた。今は月に何件か誰かの転職の話を聞いて、その人が動き出したときの言葉を受け取る。それが仕事として回っている。
キャリアチェンジ後の年収回復を考えている人の多くは、「下がった分を取り戻す」ことを目標にする。でも実際には、「今の仕事でどこまで積み上げられるか」に集中した方が早い。取り戻しに使うエネルギーより、積み上げに使うエネルギーの方が、少なくとも僕には向いていた。
見通しがあれば、年収が下がっても耐えられる
キャリアチェンジへの不安の本質は、「年収が下がること」より「見通しが立たないこと」の方が大きい。相談を受けていて、そう感じることが多い。
年収がいくら下がるかより、「どれくらい経てばどのくらい稼げるか」の見通しが立てられるかどうかの方が、精神的には効く。見通しがあれば、年収が下がっても耐えられる。僕の場合、それがなかったから最初の1年がきつかった。
転身前に「3年後のモデルケース」を誰かに見せてもらえていたら、だいぶ違ったと思う。今は相談者に対してそれを意識して話すようにしている。自分がもらえなかったものを渡す感じ、とでも言うか。
転職入職者の賃金変動状況をみると、「増加」した割合は37.2%、「変わらない」は28.8%、「減少」した割合は32.4%となっている。
転職後に年収が下がるのは3人に1人の話だ。珍しいことじゃない。ただ、そのデータが「いつ戻るか」の見通しを教えてくれるわけじゃない。下がること自体より、その先が見えないことの方が精神的にはきつい——それは自分の経験でも、相談を重ねてきた中でも、変わらず感じることだ。
キャリアチェンジを考えている人に会うと、「年収はいつ戻りますか」という質問をよくされる。正直に言うと、「何年で戻る」とは言えない。ただ、「同じ仕事でも積み上げ方によって変わる」とは言える。何に集中するかを早く決めた人ほど、数字が安定するまでの期間が短い印象がある。
「年収が回復した」という話を書こうとしたら、少し違う話になった。気づいたらコンサル時代の数字を超えていたのは事実だけど、それを目標にしていたわけじゃない。仕事の密度を上げることに集中していたら、数字がついてきた。リスクを取った、結果が出た。それだけのことだったのかもしれない。