フリーランスエンジニアになってわかったこと。2年間の正直な話
フリーランスエンジニアになってわかったことを正直に書く。社員25人のスタートアップを半年で辞め、2022年秋から2024年秋まで2年間フリーランスをやった話だ。
フリーランスに興味があるエンジニアは多い。自由そう、稼げそう、スキルが上がりそう——そういう期待があると思う。実際に良い部分もあるし、やってみないと分からない難しさもある。なってよかった部分も、なって初めて気づいた部分も、両方正直に書く。
なぜフリーランスになったか
理由はシンプルで、責任に報酬が見合っていなかった。新卒でブロックチェーンゲームのスタートアップに入って、半年でフリーランスに転向した。入社してすぐにサーバーのリードを任される場面があって、「この責任なら単価で動いた方がいい」と判断した。若さと過信もあったと思う。
収入は上がった。月単価ベースで動けるようになって、正社員時代より手取りは増えた。その点では判断は間違っていなかった。
フリーランスの実態
技術の幅が広がった点は、想像以上によかった。Web3だけでなくAIも触れるようになって、Expo・NestJSの組み合わせで2本アプリを出せた。案件を選べるため、やりたい技術スタックに近い仕事を取りにいける。これはフリーランスにしかない自由だ。
時間の使い方も自分で決められる。コアタイムがなければ、午前中に集中して午後は別のことをする、という動き方ができた。
一方で、思っていたより消耗したこともある。
コードレビューがない。設計の正解を誰にも確認できない。「これで合っているか」という問いに、自分しか答えてくれない。最初はそれが自由に見えていたが、1年半経つころには「自分が成長しているかどうかを判断できるのが自分だけ」という状況がじわじわしんどくなっていた。
孤独と、それ以上に気になったこと
孤独はあった。でも思ったより慣れた。
それより気になったのは「届けること」の難しさだった。
2本のAIアプリをリリースして、どちらもユーザーがほぼ来なかった。宣伝をほとんどしなかったから当然だけど、当時の自分には「作れば誰かが使う」という根拠のない期待があった。インストール数がゼロのまま日が過ぎていく感覚が、技術的な詰まりよりしんどかった。
『SOFT SKILLS』(John Sonmez)を読んだのはフリーランス中期で、技術力だけでなく「マーケティング・発信・届ける力」がエンジニアのキャリアを決めるという話に、当時の自分にとってのリアルな課題が重なった。作ることと届けることは、全然別のスキルだと痛感した。
フリーランスに向いている人、向いていない人
2年やってみた感触で言うと、フリーランスが向いているのはこういう人だと思う。
すでに専門性が一定以上ある人。自分の成長を自分で測れる人。コードレビューがなくても、外部の勉強会・OSSコントリビューション・技術ブログなどで補完できる人。これが揃っていると、フリーランスのメリットを最大化できる。
逆に、設計を誰かに教えてもらいたい時期の人、成長に伴走してほしい人には、チームの方が合う。僕は後者だったと、フィンテックに転向してから気づいた。
2年間の総括
フリーランスをやめた後悔はない。あの2年で、一人で設計して詰まる経験と、技術の幅と、「届けることを後回しにするとどうなるか」という教訓を持ち帰れた。
フィンテックに転向してから、チームの設計議論についていけているのは、フリーランス期間に一人で悩み続けた経験が土台になっている部分があると思っている。
フリーランスが「上位互換」だとは思っていない。時期と目的によって、向き不向きが変わる。2年間の経験は、そのことを体で理解するための時間だったと今は捉えている。どちらを選ぶにしても、「なぜその選択をするか」を言語化できていれば、後悔は少ない。