転職前にやること。動き出す前の準備が、転職活動の質を決める


転職前にやっておくべきことがある——という話を、自分が動く前に知りたかった。

何から始めればいいか分からない。求人を見てみたけど何を基準に選べばいいか分からない。エージェントに登録した方がいいのか、自分で探した方がいいのかも分からない。転職したいのに、最初の一歩が踏み出せない状態、というのが確かにある。

コンサル時代の僕もそうだった。転職したいという気持ちはあった。でも「転職活動」という行為のスタート地点がどこなのかが分からなくて、なんとなく求人サイトを眺めては閉じる、を繰り返していた。


動き出す前に一度だけやること

最初にやるべきことは、「今の会社の何が嫌なのか」を紙に書き出すことだと思っている。

「なんか違う」では、転職先は選べない。何が違うのかを言語化しておかないと、次の会社でも同じ問題に当たる可能性がある。上司なのか、仕事の内容なのか、給料なのか、将来が見えないのか。30分でいいから、書き出してみる。

僕の場合、出てきた言葉は「誰かの人生の転機に関わりたい」だった。コンサルで大型プロジェクトを回しながら、それが一度も感じられなかった。言語化することで、何を探せばいいかが初めて見えた。

この作業を後回しにしたまま転職活動を始めると、条件の比較だけで転職先を選ぶことになる。年収・福利厚生・ネームバリュー。どれも大切だけど、「なぜ転職するか」が曖昧なまま選んだ転職先は、しばらくしてから「これでよかったのか」になりやすい。

お金の余裕を先に確認する

転職前に「半年間、収入が下がっても生活できるか」を確認しておくだけで、活動中の判断の質が変わる。転職活動は想定より時間がかかることが多くて、3ヶ月で決まることもあれば半年かかることもある。

活動中に焦りが出ると、「とりあえずここでいいか」になる。これが一番よくない選び方だと思う。

僕は転職活動に入る前に、当時の毎月の支出を計算して、最低6ヶ月分の生活費を手元に残してから動いた。実際にその貯金を崩す事態にはならなかったけど、「いつでも断れる」という感覚が、採用条件を交渉するときにかなり効いた。余裕があるときの方が、選ぶ基準がブレない。

一度だけ、市場の声を聞いてみる

転職活動の本格化の前に、転職エージェントに一度だけ話を聞いてもらうことをすすめている。

理由は単純で、「自分が市場でどう評価されるか」を事前に把握するためだ。転職活動を始めてから「思ったより評価されない」と気づくのは、精神的にかなりしんどい。エージェントに相談するのは無料だし、自分のキャリアが外からどう見えるかを知っておくだけで、動き出しのスピードが変わる。

コンサルの経験は転職市場で評価されやすいと聞いていたけど、実際に話してみて初めて「どの職種で・どういう文脈で評価されるか」が分かった。強みだと思っていた部分が刺さらなかったり、逆に普通だと思っていた経験が評価されたりした。事前に知っておくのと、活動中に気づくのとでは、メンタルの消耗度がだいぶ違う。

スキルアップは転職後でいい

スキルは転職前に積むより、転職先で身につける方が速いことが多い。「もう少しスキルを積んでから動こう」と考える人は多いけど、気持ちは分かる一方、多くの場合それは先延ばしになる。

スキルは転職先でも身につく。むしろ新しい環境に入った方が、速く成長できることも多い。転職前に必要なのは「完璧な準備」じゃなくて、「動ける状態にすること」だと思う。

一つだけ例外を言うと、応募条件として資格が求められる職種は別だ。僕はキャリアコンサルタントの国家資格を、転職活動と並行して取得した。それは応募先が資格保持者を条件にしていたからで、そうでなければ転職後に取っていたと思う。資格が条件に入っていないなら、まず動き出してから考える方が早い。


振り返ると、転職前にやっておいてよかったことは「言語化」「お金の確認」「市場の把握」の三つに集約される。どれも大げさな準備じゃない。完璧な状態を待っていたら、一生動けない。まず動ける状態を作ることが、転職活動の本当のスタートだと今は思っている。

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Syun

早稲田大学ラグビー部出身。大手外資系コンサルを経て、32歳でフリーランスのキャリアコンサルタントとして独立。サウナとルーティンをこよなく愛する。

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