個人開発で失敗してわかったこと。アプリ2本作って誰にも使われなかった話


個人開発をやってみたけど、うまくいかなかった。どうすればよかったのか、何が間違っていたのか、分からないまま時間が過ぎた経験がある人には、少し参考になるかもしれない。

フリーランス期間にAIアプリを2本リリースして、どちらもユーザーがほぼ来なかった。失敗というより、誰の目にも触れないまま終わった、という感じに近い。

それがきつかったし、そこから学んだこともある。


作ったものと結果

2022年秋にフリーランスになって、最初の1年でAIチャットアプリを2本出した。どちらもExpoとNestJSで作って、技術的には動くものになった。ストア申請も通って、一応リリースはされている。

ユーザー数は、両方合わせてもほぼゼロだった。正確に言うと、知り合いが数人使ってくれた、くらいの数字だ。

原因はシンプルで、宣伝をほぼしなかった。SNSでの告知もほとんどせず、AppStoreの最適化もせず、作ったら出して終わり、という状態だった。「作れたら誰かが見つけてくれる」という根拠のない期待があったと思う。

誰にも使われない感覚

インストール数がゼロのまま日が過ぎることは、技術的な詰まりより精神的にきつかった。

「完成した」という達成感は最初はあった。ストアに並んだときは少し嬉しかった。でも1週間も経つと、ダッシュボードの数字が変わらないことに気づく。「動いている」のに「使われていない」というのは、思った以上にモチベーションにきつく響いた。コードを書く気力が落ちてきた。

技術的な問題ならデバッグできる。でも「誰も来ない」という状態に対して、何をすればいいか分からなかった。それが一番しんどかった部分だと思う。

学んだこと

失敗から得たものは、主に2つある。

一つは「作ることと届けることは別のスキル」という事実だ。コードが書けることと、プロダクトが使われることは、まったく別の話だ。マーケティング、SEO、SNSでの発信、競合との差別化——こういった「届けるための仕事」を一切やらずに出しても、ストアの海に沈むだけだ。エンジニアとしての視点だけでプロダクトを考えていると、この盲点に気づきにくい。

『SOFT SKILLS』(John Sonmez)に「エンジニアのキャリアを決めるのは技術力だけじゃない。マーケティング・発信・届ける力が同じくらい重要だ」という話が出てくる。フリーランス中期に読んで、自分がやっていなかったことの名前がついた感覚があった。

もう一つは技術選定の感覚だ。2本作ることで、Expo・NestJSの組み合わせの使い所と限界が身体レベルで分かった。何かを使いたいなら作りながら覚えるのが最速、という確信は、この経験から来ている。

キャリア的にどう使えたか

フィンテック企業の面接では、個人開発の話を聞かれた。失敗した話をそのまま話した。「ユーザーが来なかった理由を分析したか」という質問があって、「宣伝をしなかったこと、ユーザー視点の設計が甘かったこと」と答えた。それが悪い方向には働かなかった。

失敗の経験は、「なぜうまくいかなかったか」を語れる状態なら、むしろプラスになることがある。「完成させた」という事実も、業務外で継続してコードを書いていたという証明になる。

チームに入ってからも、個人開発の経験は別の形で効いてきた。「このAPIの設計、後から変えにくくなりそう」という勘は、自分で設計して後悔した経験から来ている部分がある。

一人でゼロから設計して詰まったことがあるからこそ、上位エンジニアのレビューに「なぜそうするのか」を質問できる。フィンテックのチームで設計議論に参加できているのは、フリーランス期間に一人で悩み続けた経験が土台になっているとも感じる。


個人開発で失敗した、という経験は無駄ではなかった。ただ、同じ失敗を繰り返すつもりはない。次に何か作るなら、リリース前から届け方を考える。ターゲットを絞る、SNSで告知する、競合と何が違うかを言語化する——そういう「作る以外の仕事」を、最初から開発と並行してやること。それだけが、あの2本から持ち帰った一番実用的な教訓だ。

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kz

26歳のソフトウェアエンジニア。このサイトの開発・運営を担当。エンジニア目線でキャリアや働き方について発信する。

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