転職エージェントに登録するのが怖かった話。初めて使う前に知っておけばよかったこと


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転職エージェントに登録する前、かなり怖かった。

今になって思うと、怖かったのは「知らない」からだった。仕組みも、相手の動き方も、自分がどう扱われるかも分からなかった。それが不安の正体だったと思う。

知ってしまうと、思ったより普通だった。これはエージェントを勧めているというより、「怖いと思っているものは、大抵想像より怖くない」という話だ。

これ、今でも覚えてる。コンサルを辞めようか迷っていた時期、「エージェントに登録してみようかな」と思うたびに、なんとなく踏み切れなかった。「転職する気が固まってないのに行くのは申し訳ない」「強引に案件を勧められそう」「なんか知らない間に話が進んでしまいそう」。そういう漠然とした不安があった。


怖かった理由を振り返ると

怖かった正体は「主導権を取られそう」という感覚だったと思う。

転職エージェントって、何をする人なのかよく知らなかった。「企業に紹介して、入ったらお金もらう仕組みでしょ」くらいの理解で。そうなると、「早く入社させようとしてくるんじゃないか」「こっちの都合より向こうのノルマ優先なんじゃないか」という疑念がどこかあった。

まだ転職するかどうかも決まっていないのに、その状態で「登録しました」と言ったら、もう乗り物に乗ったみたいに流れていくんじゃないか、と。

「なぜ無料か」が分かると、少し楽になった

転職エージェントが無料で使えるのは、企業側が採用費を払う仕組みだから。求職者から費用は取らず、紹介した人が入社したときに企業から成果報酬をもらうモデルになっている。

「無料=何か裏があるはず」という感覚は、この仕組みを知らないと自然に生まれる。早く転職させようとしてくるのも、企業に人が入らないと報酬が発生しないから——構造が分かると、向こうの動き方の理由が読めて、少し余裕を持って使えるようになった。

強引な担当に当たることはある。でも担当を変えてもらうことは普通にできるし、使ってみて合わなければ別のエージェントに変えればいい。選択権はずっとこちらにある。

実際に登録してみたら

コンサルにいた頃、8ヶ月ほど迷い続けた時期がある。その途中、「とりあえず情報だけ集めよう」と思って1社だけ登録してみた。

電話がかかってきて、「今のお気持ちはいかがですか?」と聞かれた。正直に「まだ転職するかどうか迷っています」と答えた。そしたら「そういう方も多いですよ」とあっさり言われた。拍子抜けした。

面談に行ったら、キャリアの棚卸しをひたすら聞かれた。現職で何をしているか、何が好きか、何に疲れているか。こちらの状況を整理する時間に近かった。

強引に案件を押しつけられることはなかった。数件紹介はされたけど、「どう思いますか?」で終わった。「入りませんか」とは言われなかった。

面談で初めて分かったこと

転職市場での自分の位置がぼんやり見えてきた。

コンサル出身というのは一定評価されること、ただし「何の専門家か」が見えないと動きにくいこと。エージェントからそう言われたとき、「そうか、自分にはまだ専門性の軸がないのか」と気づいた。それが後の決断の一つの材料になった。

結局そのエージェントから転職はしなかった。でも「市場からどう見えているか」を知れたことは、無駄じゃなかった。

もう一つ、面談を通じて気づいたことがある。「転職しない」という選択を自分でできるようになった、ということ。情報がない状態だと「なんとなく怖いから動かない」だけど、情報を集めた上で「今は動かない方がいい」と判断できるようになる。その差は小さそうで、大きい。迷いに根拠が生まれるというか。

あとは、自分の市場価値をぼんやりでも知っておくことで、今の職場に対する見方が変わるとも感じた。「ここでしか通用しないのかも」という不安が、少し薄くなる。

担当者との相性の話

登録して面談してみると、担当者との相性が意外と大きく影響することが分かる。

一回目の面談で「この人はこちらの話をちゃんと聞いている」と感じるかどうかで、そのエージェントを使い続けるかが決まる気がしている。話を聞いてくれる人は、希望を整理する手伝いをしてくれる。話を聞かずに求人を畳み掛けてくる人は、いくら登録しても意味が薄い。

担当者が合わないと感じたら、変えてもらえばいい。「担当の変更をお願いしたいのですが」と伝えるだけで、ほとんどのエージェントは対応してくれる。それも断れない、という人がいるけど、担当変更はよくある要望なので遠慮しなくていい。

複数のエージェントを使うことも、実は担当者の相性を確認するためでもある。1社だけだと、担当者が合わなかったときに「エージェントを使うのが合わない」という誤解が生まれることがある。2社試してみると、違いが見えやすい。

今、相談者に伝えること

「転職する気がなくても使っていい」——これが、エージェントを怖がっている人に一番伝えたいことだ。フリーランスになってから、「エージェントが怖くて登録できない」という相談を受けることが増えた。エージェントは転職を確約するサービスじゃなく、情報収集と市場確認に使えるツールでもある。強引なエージェントもゼロじゃないけど、「今はまだ迷っています」と最初に伝えれば、それに合った動き方をしてくれるところが多い。

登録してみて「合わない」と思ったら、使わなければいい。その選択権はずっとこちら側にある。

初めて使う人に知っておいてほしいこと

エージェントの面談に行く前に、一つだけ準備すると使いやすくなる。

「今の仕事で何が嫌か」を一つだけ言葉にしておくこと。「上司との関係がしんどい」「仕事の内容が合っていない気がしている」「将来の見通しが立たない」——どれでもいい。一つ持っておくと、担当者との会話の出発点になる。それがないと、「どんなお仕事をお探しですか」という質問に詰まることがある。

あとは「今は転職を決めていない」と最初に伝えておくこと。それを言えるようになると、面談全体がずいぶん楽になる。担当者も「情報収集段階の方」という前提で話してくれる。


転職エージェントへの怖さの正体は、たぶん「知らない」ということだと思う。仕組みも、相手の動き方も、自分が断っていいことも知らないから、なんとなく怖い。

使ってみると、想像より地味だった。面談は会話だし、案件を断っても怒られない。「初めてで怖い」という感覚は正直自然なんだけど、それだけで使わないのはもったいないかもしれない。

「怖かったけど使ってよかった」と言う人に共通しているのは、「転職を決めていない段階で情報収集に行った」という使い方だ。決めてから行く必要はない。むしろ決める前に行く方が、視野が広い状態で情報を集められる。「市場から見た自分」が分かると、今の職場に対する見方が変わることがある。不安が薄まることもあるし、「やっぱり転職を考えていい」という確信になることもある。どちらにせよ、情報がない状態よりずっといい。

怖かったころの自分に伝えるとしたら、「登録してみると、そんなに怖くなかった」というだけだ。それだけで十分だと思っている。「転職を決めてから行く」じゃなく「情報収集のつもりで行く」という感覚で、ハードルを一段下げておくといい。その感覚が持てると、最初の一歩がずいぶん軽くなる。転職するかどうかを決める前に「市場から見た自分」を知っておくだけで、次の選択の幅が変わる。情報は多い方がいい。それだけのことだ。

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Syun

早稲田大学ラグビー部出身。大手外資系コンサルを経て、32歳でフリーランスのキャリアコンサルタントとして独立。サウナとルーティンをこよなく愛する。

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