キャリア相談で何を話せばいいか。準備ゼロで来た人ほど、いい相談になる


キャリア相談で何を話すか分からなくて、申し込みをためらっている人がいる。

「何を話せばいいか分からなくて、申し込むのをずっと迷っていました」

初回の相談でこれを言われることが、けっこうある。迷っていた理由が「話す内容が整理できていなかったから」という人は多い。

結論から言うと、整理しなくていい。むしろ整理していない状態で来てほしいと思っている。


「何を話すか」は準備しなくていい

準備してきた内容だけを話そうとすると、本音が出にくくなる。

それ自体は悪くないんだけど、まとめた内容だけを話そうとすると、本音が出にくくなることがある。「まとめた話」は、本人が意識的に選んだ情報だ。整理されているぶん、自分でも気づいていない本質的な部分が抜け落ちていることがある。

準備ゼロで来て、「何から話せばいいか分からないんですが……」から始まった相談の方が、案外いい話になることが多い。頭の中がまだ整理されていないからこそ、出てくる言葉がある。


実際に何を話すか

話の出発点は「今の仕事の状況」で十分だ。

まず出発点になるのは「今の仕事の状況」だ。どんな仕事をしているか、今どんな気持ちでいるか。不満でも満足でも、どちらでもない感覚でも構わない。

次に、「最近こういうことがあって」という出来事があると話が具体的になりやすい。でも特定のきっかけがなくても問題ない。「なんとなくずっとモヤモヤしている」で十分だ。

来る前に「何を知りたいか」を一つ持ってこれると、相談が使いやすくなる。「転職すべきか聞きたい」「自分に何が向いているか整理したい」「ただ話を聞いてほしい」——どれでもいい。ただこれも、来てから決めても遅くない。


聞かれること

「今の仕事で最後に手応えを感じたのはいつですか」——これをよく聞く。

「今の仕事で、最後に手応えを感じたのはいつですか」

これは答えが遠い人ほど、現状との乖離が大きいことが多い。最近のことがすぐ出てくる人は、問題が仕事の中身ではなく別の何か(人間関係・評価・ライフステージ)にある可能性が高い。

「会社を離れた自分に何が残ると思いますか」という問いもよく使う。答えにくい問いだけど、そこを考えることが次の方向性につながることが多い。

こういった問いに正解を用意してこなくていい。その場で初めて考えても構わない。


準備してきた人と、ゼロで来た人の違い

実際に相談を受けてきた経験から言うと、「ちゃんと準備してきました」という人より「何を話せばいいか分からなくて……」という人の方が、相談が深くなることが多い。

準備してきた人の話は整理されている。でも整理された話には、本人が意識的に「これは言わなくていいか」と除外した情報が含まれていない。準備ゼロで来た人は、思ったことをそのまま話すから、本人も気づいていなかったことが出てくる。

相談の中で「あ、そういうことだったんですね」と言われることがある。整理されていない状態が、そのまま発見につながることがある。


「相談=転職を勧められる」ではない

相談した結果、「今の会社でできることを試してみる」という結論になることは普通にある。

でも実際は、相談した結果「今の会社でできることを先に試してみる」という結論になることは普通にある。以前、2ヶ月間で5回話し合って、最終的に「転職活動を一旦止めます」と言って帰った人がいた。それで正解だったと今でも思っている。

転職エージェントは「転職させること」に動機があるが、キャリア相談は「あなたはどうしたいか」を一緒に整理することが目的だ。だから、相談の結果が転職になっても、転職しないになっても、どちらも正解になりうる。


何を話せばいいか分からないまま来た人ほど、最終的に「来てよかった」と言ってくれることが多い。整理されていない状態が、そのまま相談の材料になるから。

照れくさいけど、これが一番正直な話だ。

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Syun

早稲田大学ラグビー部出身。大手外資系コンサルを経て、32歳でフリーランスのキャリアコンサルタントとして独立。サウナとルーティンをこよなく愛する。

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