転職が怖くて動けない人へ。その怖さの正体と、一歩踏み出した話
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転職が怖くて動けない、という感覚は分かる。
「転職したいけど、怖くて動けない」「不安で一歩が出ない」——そういう言葉を、本当によく聞く。
でも少し話を聞いていくと、「怖さの中身」は人によって全然違う。年収が下がることが怖い人、今の環境を手放すのが怖い人、転職先でうまくやっていけるか怖い人。「転職が怖い」というひと言の中に、いくつもの違う怖さが混ざっている。
だから最初に言っておきたいのは、「転職が怖い」のは普通のことだし、その怖さを無視して動く必要はない、ということだ。
ただ、怖さに飲み込まれたまま動けなくなるのも、もったいない。
僕が怖かったのは、「コンサルを辞めた自分に何が残るか」だった
一番怖かったのは、収入の話じゃなかった。「会社を離れた自分に、何が残るのか」という問いに答えられなかったことだった。
コンサルのブランドがない自分。プロジェクト経歴が使えない自分。そのとき初めて、自分が「どこの会社にいるか」と「自分が何者か」をごっちゃにして生きていたことに気づいた。
これは怖かった。漠然と、でもじわじわと。
「怖さ」を分解したら、意外と小さかった
怖さは分解すると、ほとんどが想像の中だけの話だった。
転職を迷っていた8ヶ月のうち、後半くらいから寝る前に「最悪、どうなる?」を具体的に言語化するようにした。
年収が下がった場合、生活はどう変わるか。転職先でうまくいかなかった場合、次の手は何か。今の人間関係が切れたとして、本当に困るか。
一個一個を具体化していくと、最悪のケースをイメージしても、それが「死」じゃないと分かると、不思議と落ち着いてくる。
そのころ読んだ『転職の思考法』(北野唯我)に、「転職は逃げかどうかではなく、自分のマーケットバリューを上げる選択かどうかで考えろ」という話が出てくる。「怖いから逃げるのか、前に進むために動くのか」を分けて考えると、怖さの扱い方が少し変わった。
怖さは漠然としているから大きく感じる。分解すると、扱えるサイズになる。
令和5年の転職入職者数は541万人で、転職入職率は10.4%と前年比0.7ポイント上昇している。
年間541万人。毎月45万人以上が転職している計算だ。「転職した自分」が特別な少数派なわけでも、博打に出た人間なわけでもない。怖さを感じることと、転職が珍しいことは別の話で、そこを混同しているうちは怖さが必要以上に大きく見える気がしている。
キャリア相談でよく聞く「怖さ」のパターン
「今の環境を手放す怖さ」と「後悔する怖さ」——この2つが、転職の怖さの正体だ。
「今の環境を手放すのが怖い」 慣れた職場・人間関係・ルーティンを失う恐怖。これは当然ある。でも「今の環境が心地よい」ことと「今の環境が自分に合っている」ことは、必ずしも同じじゃない。
「後悔するのが怖い」 これが一番やっかいな怖さかもしれない。動かないことにも後悔はある。転職しなかった後悔と、転職した後悔——どちらかを引き受けることが、決断ということだと思う。転職先でうまくやっていけるかという不安も、結局はここに混ざっていることが多い。今の職場だって最初はうまくいかない時期があったはずで、「慣れていない」と「向いていない」は別の話なんだけど、怖いときはそれが同じに見えてしまう。
相談を受けるとき、僕がまず聞くこと
「その怖さは、今感じている不満より大きいですか?」——怖さで動けない人に、まずこれだけ聞く。
これ、答えられない人がけっこう多い。それはつまり、怖さと不満のどちらが大きいかをまだ測っていない、ということだと思う。
転職することへの怖さは確かにある。でも同時に、「今のままでいること」にも怖さがある。収入は安定しているけれど、3年後も同じ場所にいる自分を想像したとき、それは怖くないか。そっちの怖さは、ちゃんと見ているか。
両方を比べてみると、動く理由が少しはっきりしてくることがある。
怖さより大きくなったもの
僕が動けたのは、怖さが消えたからじゃない。
「怖いまま動かないことの方が、もっと後悔する」という感覚が、怖さより少しだけ大きくなった。その差が、3日での決断につながった。
ラグビーをやっていたころ、監督によく言われていた言葉があって。「完璧なパスを待つな、今あるボールを動かせ」。
転職の怖さも、それに近い気がしている。完璧に準備が整ってから動こうとすると、ずっと動けない。今あるものを持って、一歩踏み出す。怖さが消えるのを待っていたら、いつまでも動けないから。
怖いまま動いた人間がここにいる。それでもなんとかなった、と言えるのは、動いた人間だけだ。
コンサルを辞めてキャリアコンサルタントになって、今年で5年が経つ。あのとき怖かったことのほとんどは、結局起きなかった。起きたことには、なんとか対処してきた。
怖さは消えないけど、慣れる。そういうものだと思っている。