転職して後悔する人、しない人。相談を受け続けてわかった違い
転職して後悔した、という人に会ったことがある。
「思っていた仕事と違った」「前の会社の方がよかった」「こんなはずじゃなかった」。転職を勧めた側として、その言葉は刺さる。
転職前は「辞めたい」という気持ちが強くて、不安を抱えながらも動いた。なのに転職後に後悔する——その話を聞くたびに、何が違ったんだろうと考えてしまう。
一方で、転職して「よかった」と言う人もいる。年収が下がっても、環境が厳しくなっても、「後悔していない」と言える人がいる。
この差はどこから来るのか、ずっと考えてきた。
後悔する人の共通パターン
後悔しやすい転職には、2つの共通パターンがある。
一つ目は、「今の会社から逃げる」転職だ。今の上司が嫌、今の仕事が辛い、今の環境が合わない——これらは転職する理由としては十分だと思う。でも「逃げ先」を選ぶ基準が「今じゃないこと」になると、次の環境でも似た問題に当たったとき、また逃げたくなる。
逃げた先が「自分が向かいたい場所」と一致していれば問題ない。でも「今より悪くなければいい」で選んだ転職先は、しばらくすると「これでよかったのか」になりやすい。
二つ目は、転職先を「条件」だけで選んだ場合だ。年収・福利厚生・ネームバリュー・残業時間。これらは大切な要素だけど、入ってみると「条件以外の部分」の比重が思った以上に大きい。
一緒に働く人、仕事のやり方、会社の空気感——これらは求人票には書いていない。条件が同じでも、職場の空気が合うかどうかで、仕事への満足度は大きく変わる。
後悔しない人に共通していること
後悔しない人は、転職前から「自分が何を大事にしているか」が明確だ。
給料じゃない。承認されることじゃない。仕事を通じて「何を感じたいか」「何に時間を使いたいか」が自分の中にある人は、多少条件が悪くても「これでよかった」と言えることが多い。
僕自身がそうだった。年収が900万から300万台に落ちて、ゼロの月もあった。月末に口座残高を確認して、ため息をついたことが何度もあった。それでも後悔しなかったのは、「誰かのキャリアの転機に関わりたい」という軸が転職前からあったから。その軸と転職先が一致していたから、条件の変化に引きずられなかった。
転職前に一度だけ問いかけてほしいこと
後悔しやすい転職と後悔しにくい転職の違いを一言で言うと、「自分から出発しているか、現状から出発しているか」だと思う。
転職先を探す前に、一度だけ問いかけてほしいことがある。
「今の会社がなくなったとしたら、自分は次に何をしたいか」。
今の環境への不満や不安を取り除いた状態で、自分が本当に向かいたい方向を考えてみる。これが整理できていると、転職先の選び方が変わる。
「軸」がある人は、しんどくても後悔しない
転職後の1年間、月末に口座残高を確認するたびに「本当にこれでよかったのか」と思った。それでも軸はブレなかった。
年収が900万から300万台に落ちて、フリーランスとして独立したはいいが、最初は案件が全然なかった。
でも、「誰かのキャリアの転機に関わりたい」という理由は一度もブレなかった。相談者が「ありがとうございました」と言って帰っていくとき、毎回そこに戻れる感覚があった。だから後悔しなかった、というより、後悔する隙間がなかった。
軸がある人は、しんどい時期にそこに戻れる。軸がない人は、しんどくなったとき「やっぱり違った」になりやすい。
転職後に後悔するかどうかは、ある程度転職前に決まっていると思っている。
「今じゃないところ」に逃げるのか、「自分がいたいところ」に向かうのか。その違いが、1年後の感想を分ける。
どちらが正解かは、その人にしか分からないけれど。僕にできるのは、転職前に「自分の軸」を一度問いかける機会を作ることくらいだ。それが整っていると、多少のしんどさには耐えられる。整っていないと、少し環境が変わっただけで揺れる。
そういうものだと思っている。