30代の転職と20代の転職は、別のゲームだと思っている
30代の転職と20代の転職は、別のゲームだと思っている。
累計300件を超える相談を受けてきた中で、30代で転職を考え始めた人から「20代のうちにやっておけばよかった」という話をよく聞く。でも毎回、そうとも言えないと思っている。
20代の転職にしかない強みがあるように、30代の転職にしかない強みもある。「30代は転職が難しい」という話は、半分は本当で、半分は違う。迷っている人ほど損をしやすい話なので、整理して書いておきたい。
20代の転職の特徴
20代の転職の一番の強みは「可能性で評価される」ことだと思う。
実績が少なくても、ポテンシャルで採用してもらえる。職種を変えることも、業界を変えることも、まだ柔軟にできる。27歳でコンサルからキャリアコンサルタントに転身した僕も、「この人なら育てられる」という部分で採用してもらった面があったと思っている。
逆に言うと、実績で戦うのが難しい。「これをやってきました」という根拠が薄いぶん、「なぜ転職したいか」「何がやりたいか」の言語化がより重要になる。言語化が弱いまま動くと、ポテンシャルを評価してもらえる会社に出会えないまま終わることがある。
可能性で選べる分だけ、軸がないと迷子になりやすい。それが20代の転職の難しさだと思う。
30代の転職の特徴
30代になると、転職市場での戦い方が変わる。
ポテンシャルより実績で評価される。「この経験を活かして何ができるか」が問われる。スキルや専門性が明確な人は、20代よりむしろ動きやすい側面がある。相談を受けていても、30代の方が「自分に何ができるか」が整理されていて、転職活動がスムーズに進むケースは少なくない。
ただ、制約が増える。
年収・ポジション・転勤・家族との時間。20代のときは「なんとかなる」で動けたことが、30代になると調整が必要になる。「やりたい仕事ではあるけど、今のタイミングでは難しい」という話が出てくるのも、30代からが多い。
「難しい」の中身を分解する
「30代は転職が難しい」というのは、正確には「一部の動き方が難しくなる」という話だ。
難しくなる部分はある。未経験領域への転職は、20代に比べてハードルが上がる。ポテンシャル採用が減る分、実績のない職種には入りにくくなる。
でも同時に、30代だからこそ採りたいという会社も増える。マネジメント経験、クライアントとの折衝経験、業界知識。これらは30代になって初めて積めるものが多い。「30代だから不利」ではなく、「30代の自分に何があるか」の方が問われている、という感じに近い。
相談の中でこれが一番伝わりにくい。「難しい」という言葉だけが一人歩きして、30代で転職を諦める人がいる。それはもったいないと思っている。
令和5年1年間の転職入職者数は約541万人、転職入職率は10.4%。前年比0.7ポイント上昇しており、転職は年々一般的な選択肢になりつつある。
541万人というのは、毎年それだけの人が転職しているということだ。「30代の転職は珍しい」という感覚は、もうずいぶん前に崩れている。怖いのは事実として珍しいからじゃなくて、「自分には難しい」という思い込みの方だと思う。
後悔しやすいのはどちらか
転職で後悔しやすいのは、「タイミング」より「準備」の問題だ。
20代で焦って動いた転職も、30代で慎重になりすぎた転職も、準備の質が結果に影響する。自分の強みが言語化できているか。転職先に何を求めているか。それが整理できていない状態で動くと、年齢に関係なく「こんなはずじゃなかった」になりやすい。
30代で後悔しなかった人に共通しているのは、「年齢」を考えるより「自分に何があるか」を先に整理していたことだと思う。焦りがある分だけ、その整理が甘くなりやすいのが30代の落とし穴だ。
「20代のうちにやっておけばよかった」という言葉を聞くたびに、今が一番早いタイミングだと思っている。
30代の転職は難しいんじゃなくて、戦い方が違うだけだ。それを知っているかどうかで、動き出し方が変わる。そしてその違いを整理する時間は、転職活動を始める前にとっておいた方がいい。