感情を引きずりやすい自分が、それでも営業を続けてきた話
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仕事で感情を引きずりやすい、というのが昔からある。気持ちの切り替えが苦手で、しんどいと感じることも多かった。
商談でお客さんが少し表情を曇らせた瞬間があると、帰り道までその顔が頭から離れなくて。「あのとき私、何か変なこと言ったかな」ってぐるぐるしながら電車に乗ってた。
大手にいたころ、上司に怒られた夜は特にひどかった。
怒られた内容より、怒られたときの空気とか声のトーンとかが、ずっと身体に残っている感じがして。「引きずるな」「切り替えろ」って自分に言い聞かせるほど、逆に頭の中でリプレイされてた。
感じすぎることが、ずっと弱みだと思ってた。営業向きじゃないって 😶
ゴリゴリじゃないことへの劣等感
営業に配属されたとき、周りを見るとガツガツした人が多くて、最初は自分が浮いてる感じがした。
数字をバシッと目標にして、断られてもめげずに次に当たって——みたいなスタイルが「できる営業」のイメージで。私はそれが全然できなくて、断られるたびにしょんぼりしてたし、お客さんの反応が気になりすぎて次のアクションが遅くなったりしてた。
「私、営業向いてないのかも」という気持ちは、入社2年目くらいまでずっとあった。感じすぎることが邪魔をしてるような気がしていたから。
『繊細さん』という本に出会った
転職1年半ごろ、友人から勧められて『「繊細さん」の本』(武田友紀)を読んだ。
HSP(Highly Sensitive Person)という気質の話で、「5人に1人が該当する、生まれつき刺激に敏感な気質」だという内容だった。病気でも性格の問題でもなくて、脳の構造として感情・感覚の処理が深い人がいる、というような話が書いてあった。
読みながら、「あ、私これだ」と思った。お客さんの表情の変化が気になる、怒られた日は帰り道まで引きずる、場の空気を読みすぎて疲れる——全部、当てはまってた 📖
本の中で印象的だったのが、「繊細さは削るものじゃなく、活かすもの」という話。感受性を鈍くしようとするより、その感受性が活きる場所・やり方を選ぶ方がいい、という考え方だった。それが、少しだけ「感じすぎる自分のせいじゃなかったかもしれない」と思えるきっかけになった 🌿
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「切り替えようとすること」の罠
それまで私は、感情を引きずらないために「気持ちを切り替えよう」としてたんだけど。
それがそもそも逆効果だったかもしれない、と少しずつ気づいてきた。
感情って、無視しようとするほど頭の中で主張してくる気がする。上司に怒られた夜に「もう忘れよう」と思えば思うほど、あのシーンがリプレイされる。「気にするな」と自分に命令するほど、気になってた。
うまく言えないけど、「感じきる」方が早かった。怒られた、嫌だった、しんどかった——それを一回ちゃんと受け取ってから、「そうか、そういう気持ちだったのか」と確認する。そうすると不思議と、少し落ち着いてくる感じがあった。
気持ちの切り替えって、感情を早送りすることじゃなくて、感情を一度ちゃんと経由してから次へ進むことだったのかもしれない。そう気づいてから、引きずる時間が少し短くなってきた。
感じる力が、実は武器だった
繊細さんを読んでから、自分の営業スタイルを少し見直してみた。
ゴリゴリできないのは事実。でも、お客さんの表情の変化に気づくのが早い。話しながら「あ、今ちょっと引っかかった」という微妙な空気を読み取って、話すペースを落としたり、「今の話、もう少し説明しましょうか」と一言挟んだりする。それが気づいたらできてた。
あと、前回の商談で困ってたことを次回まで覚えておくのが自然にできる。感情で物事を処理するタイプだから、「この人がしんどそうだった」という感覚記憶が残るんだと思う。数字や内容より、感情の記憶が先に来る。
それが結果的に「また来ました」と言ってもらえる確率に繋がってた気がしていて。「ゴリゴリじゃないのに続いてる」のは、弱みを我慢してたからじゃなくて、感じる力が別の形で機能してたからだったのかもしれない。
今でも引きずる夜はある
感じすぎる気質が「武器」と言えるようになったのは、だいぶ時間がかかった。今でも、きつい言葉を受けた日や商談が空回りした日は、帰り道にぐるぐるすることがある。
ただ、以前と違うのは「引きずってる自分がダメ」とは思わなくなったこと。そういう気質だから、引きずるのは当然で。問題は「引きずること」じゃなくて、引きずったまま止まることだった。感じながらも次へ進む、ということが少しずつできるようになってきた。
感じすぎることを直そうとしなくてよかった。直せなかっただけかもしれないけど。でも今は、変えなくてよかったと思ってる 🌱
「気持ちの切り替えが苦手」と悩んでいる人が、もしこれを読んでくれているなら。切り替え方を覚える前に、「感じてもいい」という許可を自分に出すのが先だったかもしれない。そういうことだった気がしてる。
感受性は「コントロールするもの」じゃなかった
あのころ、感じすぎることを「コントロールしなきゃいけないもの」だと思っていた。
気になりすぎるのを抑える。感情的になりそうなのを止める。怒られても表情に出さない。そういう訓練を積めば、もっと「プロっぽく」仕事ができると思ってた。
でも実際には、コントロールしようとすればするほど消耗していた。感情を抑えるのにエネルギーを使って、本来使うべき「お客さんのことを考える」に使えるエネルギーが残らなくなってた。
繊細さんの本を読んで変わったのは、感受性を「抑えるもの」から「使うもの」に変えた、という意識の違いだった。お客さんの表情の変化に気づく、声のトーンで迷いを感じ取る、話が噛み合ってない空気を察知する——それは削るべき過敏さじゃなくて、活かしてよい観察力だった。
同じ感受性でも、「コントロールしなきゃ」と思って使うのと、「これを使おう」と思って使うのとでは、消耗度がまったく違う。あの気づきが、いちばん大きかった気がしてる。
自分の「スタイル」に名前をつけた
感じすぎる気質と向き合ってから、営業の自分のやり方に少しずつ言葉がついてきた。
ゴリゴリ押す営業ではない。数字で迫るのではなく、相手の状況を聞きながらゆっくり関係を作るタイプ。前回の相談内容を次回まで覚えておいて、「あのとき話してたこと、その後どうなりましたか」と聞ける。それが今の自分のスタイルだと言えるようになった。
最初は「ゴリゴリじゃないから弱い」だと思ってたけど、今は「ゴリゴリじゃないから続けられる関係がある」と思ってる。スタイルが変わったわけじゃなくて、受け取り方が変わった。
自分の感受性に名前をつけて、「これは私のやり方」と言えるようになってから、仕事の重さが少し変わった気がする。感じすぎることを否定しなくなった分、仕事中に自分を責める回数が減ってきた。
気持ちの切り替えが苦手な人が、全員感受性を武器にできるかどうか、正直分からない。でも「感じすぎる」を直そうとするより、「感じながら進む」ことを覚える方が、自分には合ってた 🌿
チームリーダーになってから、メンバーの細かい変化に気づけることが増えた。顔色、声のトーン、報告が少し遅くなったとき。「なんかあったかな」と気になって声をかけると、実際に困ってたということが何度かあった。
感じすぎることは、チームを見るときにも使えた。直そうとしなくてよかったと思う、本当に。