後輩ができて、何を教えればいいかわからなかった話


後輩ができたとき、何を教えればいいか不安だった。

後輩ができる前は「自分が先輩になったら丁寧に教えよう」ってずっと思ってた。でも実際に4月が来て、隣に新卒の子が座ったとき、正直何も出てこなかった。「まず電話の出方から教えたらいい?」「でもそれって自分で慣れた方がよくない?」みたいなことを頭の中で行ったり来たりして、結局最初の1週間はどこかぎこちなかった。

後輩の教え方がわからないのって、自分だけかなと思ってたけど、同じ時期に先輩になった同期に話したら「あー、私もそうだった」って即答された。なんか少し安心した。

最初の失敗は「教えすぎ」だった

私が初めて後輩を持ったのは、スタートアップに入って2年目の春。大手メーカー時代は転職前に後輩を持たずに出てきてしまったから、「誰かを教える」ということをほとんどやったことがなかった。先輩たちにどう教えてもらったかも、思い出せないくらい記憶が薄くて。

それで最初にやったのが、詰め込みだった。

電話の出方、メールの書き方、商談前の準備、報連相のタイミング。自分が「入社当初に知っておきたかったこと」を全部リストにして、順番に説明しようとした。後輩の子は「ありがとうございます」って言ってくれてたんだけど、なんか顔が少し曇ってた気がして 😶 あとから「情報が多すぎてパンクしてました」って笑いながら言われた。


入社3ヶ月目で大口顧客との商談メモを取り忘れたとき、私はかなり強いトーンで指摘されて泣いた。だから後輩には同じ思いをさせたくなかった。その気持ちは本当だったんだけど、結果的に空回りしていた。

「何を教えるか」より「何を聞くか」

うまく言えないけど、途中から「教えようとするのをやめた」感じになっていった。

「今日一番困ったことは何だった?」と聞くだけで、会話が変わった。私が教えたいことを話すより、相手が詰まってる場所に合わせて話す方が、なんか機能した。

報連相のタイミングとか、商談での立ち回り方とか、「これは絶対伝えなきゃ」と思っていたことが、実は後輩の子にとってそんなに急じゃなかったりして。それより「このお客さん、次どう対応したらいいですか」という現場の質問に答えていくほうが、お互い意味があった気がしてる 🌿

答えられないことも多かった

もう一個正直に言うと、質問されて答えられないことが結構あった。

「なんでこのお客さんはこのタイミングで契約するんですか」「営業って最終的に何を磨けばうまくなりますか」——本質的な問いが来るたびに、うまく言えなくて。「正直まだ私もわかってないんだよね」って答えたら、「そうなんですね」ってあっさり返ってきた。完璧に教えようとしてた自分が、ちょっと笑えてきた。

先輩になって気づいたこと

後輩ができてから、「私ってこういうことを大事にしてたんだ」と気づく場面が増えた。

教えようとして言葉にする過程で、自分の仕事の軸が見えてきた気がする。「嘘はつかない」「前の悩みを覚えておく」——そういうことを、ちゃんと言語化できていなかっただけで、実は自分の中にあったんだなって。

先輩になるのって、思ってたよりずっと自分のためになっていたかもしれない 🌱


チームリーダーになって少し経った今は、教え方に正解はないんだなとやっと思えてる。

入社してすぐ「この先輩に教わりたい」と思える人って、完璧に教えてくれる人じゃなくて、一緒に考えてくれる人だった気がする。当時の私にとってそういう先輩がいたように、私もそういう人になれてたらいいなと、なんとなく思ってる。

後輩ができて最初の春は、絶対どこかぎこちない。それはたぶん、ちゃんと向き合おうとしてるからだと思う。

後輩から教わったこと

正直に言うと、後輩ができてから一番驚いたのは、「後輩の方がよく見てるな」という場面が何度かあったことだった。

商談で私が「こうやって話せばいい」と思っていたやり方を、後輩の子が全然違う切り口で話していて、お客さんの反応がよかったことがあった。終わった後に「どうしてその話し方にしたの?」と聞いたら、「自然にそっちがしっくりきたので」と言って。私が「正解」と思っていたやり方が、この子にとっては正解じゃなかっただけで、別の正解があった。それに後から気づいた。

後輩を教えようとしていたのに、自分が教わっていた。そういう場面が、先輩1年目には意外と多かった 🌱


後輩ができてから1年くらい経ったとき、「先輩に教えてもらって一番よかったことって何?」と聞いたことがある。

「わからないって言ってくれたのが、よかったです」って返ってきた。

「正直まだわかってない」と言っていたことを、プラスに受け取ってくれていたと知って、少し肩の力が抜けた。完璧に教えようとしていたあの最初の数週間、実は「わからない」と言えるようになってから関係が変わっていたんだなと。先輩と後輩って、「教える人」と「教わる人」という一方向じゃなくて、一緒に仕事をする人同士という感じの方が長続きする気がしてる。

後輩への質問で、自分の軸が見えた

後輩に「どうして営業を続けてるんですか」と聞かれた日があった。

ちゃんと答えられるか自信がなくて、少し考えてから「嘘をついて受注するのが嫌で、でもそれをやらなくても続けられる環境を見つけたから」と言ったら、「そういう軸ってどうやって持てたんですか」と返ってきた。

自分の軸って、誰かに聞かれるまで言葉にしたことがなかった。後輩に質問されることで初めて言語化できたことが、先輩1年目に何度かあった。「教えながら自分のことがわかる」という体験は、先輩になるまで全然想像していなかった。後輩ができることで、自分の仕事に対する姿勢が少し整理されていった気がしてる。

うまく言えないけど、先輩になることって「教える立場になる」だけじゃなくて、「自分を言語化する機会が増える」という意味もあった。それに気づいてから、後輩ができることが少し怖くなくなった気がする 🌿


後輩の教え方に正解があると思っていたけど、今は「その子に合った教え方を一緒に探す」くらいの感覚になってきた。答えを用意しようとするより、一緒に考える時間を持てた方が、お互いの仕事が深まる気がしてる。完璧な先輩にならなくていい。後輩と一緒に、少しずつ仕事をよくしていけばいい。先輩1年目の自分に、そう言ってあげたい。


後輩の教え方でひとつだけ変えたことがある。最初の1ヶ月は「何を教えるか」より「何を聞くか」を優先するようにした。「今日困ったこと、何かあった?」という問いを毎日夕方に投げるだけで、後輩の子が何でつまずいているかが見えてきた。そこから話すと、的外れな説明が減った。「今日覚えたこと、一個教えて」と聞くと、後輩の目線から見えている仕事が少し分かるようになった。教え方がわからないなら、まず聞くことから始めればいい。後輩ができた最初の春に、それだけ知っていればよかった気がしてる 🌿

先輩1年目は、うまくやろうとしてぎこちなくて当然だと思う。後輩にとっても、先輩が完璧じゃない方が「自分も失敗していい」と思えたりする。ぎこちない春があって、その次の春は少しだけ違う自分がいる。それが先輩になるということなのかもしれない。

後輩ができた最初の春を今振り返ると、「何を教えるか」より「どうやって一緒に仕事をするか」の方がずっと大事だったと思う。教え方に正解はないけど、後輩のことを気にかけ続けることだけは、たぶん正解に近い。先輩1年目の私に言えることがあるとしたら、それだけ。

Yuki

このサイトの編集リーダー。アナウンサーを目指した過去を持つ29歳。大手メーカーからスタートアップへ転職した現役営業職。休日はカフェで充電しながらキャリアについて発信中。

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