転職後にミスマッチを感じた人が、次にやったこと


転職後にミスマッチを感じることは、転職そのものの失敗じゃない。入ってみないと分からないことが必ずあるし、事前の情報収集だけで全部把握することは難しい。それよりも、「気づいた後にどう動くか」の方が大事だと思っている。

相談に来る人の多くは「気づいた」という状態で来る。何かが合わないと感じている。でも「何が」「なぜ」がまだぼんやりしている。そこを整理することから、次の一手が見えてくる。

転職後にミスマッチを感じた人が相談に来るとき、共通して言うことがある。

「こんな早く辞めたら、履歴書に傷がつきますよね」。

その言葉が出た瞬間、まず傷の話より前に確認したいことがあると伝えるようにしている。そのミスマッチが何に対するものなのか。それが分からないまま「辞める/続ける」の二択に入ると、たいてい判断がブレる。


「とりあえず1年」が正解じゃなかった人

Dさん、29歳。転職して6ヶ月で相談に来た。前職は大手メーカー、転職先は同業の中堅企業。「仕事の規模感が変わって、自分がやっていることの意味が分からなくなった」と言った。

相談の中で「ミスマッチの種類」を整理してみると、仕事内容自体は悪くなかった。問題は、大きな組織の歯車として動くことに慣れていたDさんが、少人数で一人当たりの責任範囲が広い環境に入ったとき、サポートを求めていい相手がいなくて孤立していたことだった。

「とりあえず1年」と自分に言い聞かせていたが、その1年の間に何を変えようとしているのかが見えていなかった。

Dさんがやったことは、社内で話せる人を一人作ることだった。シンプルだけど、それだけで状況が少し変わった。半年後に「辞める気持ちが薄れてきた」と連絡をもらった。


すぐ動いた人のケース

Eさん、33歳。入社4ヶ月で相談に来た。「文化が根本的に合わない」と言いきっていた。話を聞くと、前職での評価軸と現職の評価軸が180度違うと感じていて、それが自分の仕事の姿勢への否定に聞こえていた。

これは「慣れ」では解決しないと判断できた。価値観のズレは時間で埋まらない。

Eさんは相談から2ヶ月後に再転職した。「早く動いてよかった」と言っていた。履歴書の1行より、自分が毎日どういう気持ちで仕事するかの方が大事だ、と本人は言っていた。それは正しいと思う。


ミスマッチの後に「何を学んだか」という視点

DさんとEさんで対照的だったのは、ミスマッチへの対応だったけど、もう一つ違いがあった。

Dさんは相談の中で「この環境で自分が慣れていないのか、合っていないのかが分からなかった」と言っていた。それが分かっていないまま、「とりあえず1年」を続けていた。半年後に連絡が来て「辞める気持ちが薄れてきた」と言っていたのは、社内に話せる人ができたことで「慣れていなかっただけだ」と分かってきたからだ。

Eさんは逆で、相談の初回から「文化が根本的に合わない」と言い切っていた。その「言い切り」に至るまでに何を経験したかを聞くと、具体的な場面がいくつも出てきた。「この出来事が価値観の違いだと分かった」という実体験があった。その確信があるから、早く動く判断ができた。

どちらも「何に困っているか」を自分で言語化できていた。その言語化のスピードや精度が、次の動き方のスピードに直結していた。

2つのケースで共通していたこと

DさんとEさんに共通していたのは、「何がミスマッチなのか」を言語化したことだ。取った行動は正反対に見えるけど、相談の流れは同じだった。仕事内容なのか、文化なのか、人間関係なのか、自分の状態なのか。そこを整理してから、「続けるか動くか」の判断に入った。

言語化する前に動くと、次の転職先でも同じ感覚になることがある。「合わなかったから辞めた」という経緯だけが繰り返される。

転職後のミスマッチを感じたとき、最初にやることは二択の判断じゃなくて、「何に対してミスマッチなのか」を一言で言えるようにすることだと思っている。それができると、次の一手が自然と見えてくることが多い。


「早く動いた方がいいですか、それとも続けた方がいいですか」と聞かれると、いつも「それはミスマッチの種類によります」と答える。決して答えを引き延ばしているわけじゃなくて、本当にそこで変わるから。


ミスマッチを感じた後の「履歴書に傷がつく」という言葉が気になっている。それを言う人の多くは、辞めることへの恐怖より、周りにどう見られるかを心配している。

でも実際に次の転職先の面接で聞かれるのは「なぜ早く辞めたのか」ではなく「何を学んで何をやりたいか」の方が多い。1行の退職理由より、その後の動き方の方がずっと大事だ、とEさんも言っていた。

「履歴書に傷がつく」という言葉が出たとき、傷の話をする前に確認したいのは、それが本当の心配ごとなのか、それとも「ミスマッチの種類」がまだ見えていないことへの不安なのか、ということだ。見えていないから、動けない。それが多い。

見えてしまえば、次の一手は思ったより早く決まる。DさんもEさんも、整理が終わってからの動きは速かった。何がミスマッチなのかが言語化できると、「辞める/続ける」より先に「まず何をするか」が見えてくる。


転職後のミスマッチを抱えている人に、「すぐ辞めた方がいいですか、続けた方がいいですか」と聞かれると、毎回同じことを言う。「それは種類によります」と。

答えを避けているわけじゃない。本当にそこで変わるから。でも「種類によります」の先を一緒に考えることが、相談の仕事だと思っている。

ミスマッチの種類が分かれば、次の行動は自然と見えてくる。慣れの問題なら時間が解決する。価値観のズレなら時間では解決しない。その区別がつくだけで、消耗の仕方が変わる。無駄に時間を過ごすより、早く整理した方がいい。

Dさんは続けることで景色が変わった。Eさんは動くことで自分のペースを取り戻した。どちらも「ミスマッチを感じた」という出発点から、違う答えに辿り着いた。正解は一つじゃない。ただ、言語化した人の方が、自分に合った答えを見つけやすい。それだけは確かだと思っている。

転職後のミスマッチで悩んでいる人に伝えたいのは、「一人で抱えすぎない」ということだ。試用期間中は、周りに言いにくい。同期には「早くも失敗した」と思われそうで、上司には弱みを見せたくない。家族には心配させたくない。その結果、頭の中だけでぐるぐるする状態が続く。

その状態が一番消耗する。誰かに話すだけで、頭の中にあったものが少し整理される。言葉にする過程で「ああ、自分はこれが嫌だったのか」と気づくことがある。整理できれば、次の選択が見えやすくなる。「履歴書に傷がつく」かどうかより、その整理の方が先だと思っている。

DさんもEさんも、相談に来る前は一人で抱えていた。「こんなことで相談していいのか」と遠慮していた。でも話し始めると、想像より早く整理できた。「何がミスマッチか」が言語化できた後の行動の速さは、両方のケースで印象的だった。言語化されると、人はその分だけ早く動ける。逆に言えば、動けない状態が続いているなら、まだ言語化できていないことがある可能性が高い。何がミスマッチなのかを言語化することが、ミスマッチへの対処の第一歩だ。その言語化を一人でやろうとして行き詰まっているなら、誰かに話してみることが一番速い。

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Syun

早稲田大学ラグビー部出身。大手外資系コンサルを経て、32歳でフリーランスのキャリアコンサルタントとして独立。サウナとルーティンをこよなく愛する。

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