営業を4年続けてきた。しんどかった時期も含めた、正直な話
もうすぐ営業を始めて4年になる。大手で3年、スタートアップに転職して今年で2年目が終わる。
なんかふと「4年か」ってなって、振り返る気分になった。しんどい時期が正直なかったわけじゃないし、辞めようか迷ったこともある。続けてよかった、という話をしたいわけじゃなくて。時期ごとにしんどさの種類が全然違ったな、という話を正直に書いてみようと思う。
ゴリゴリじゃない営業を探していた
大手の営業3年間で、一番消耗したのは「失敗が多いこと」より「やり方が合わないこと」だったと思う。
数字を上げることより、「このお客さんに本当に必要なものを届けられているか」を先に考えたかった。でも組織の中では、それが「効率が悪い」として処理されることが多かった。「受注につながらない動きにリソースを使わない」という文化に、少しずつ消耗していった。
2年目ごろから、上司に怒られることが怖くて「怒られない動き方」を先に考えるようになっていた。報告するたびに心拍が上がる感覚があって、それが一番しんどかった 😶
1件ずつ受注を積み上げることより、上司の機嫌を読むことに頭を使っていた時期があった。「これ報告したら怒られるかな」という計算が先に来て、お客さんのことを考える順番が後になっていた。それが自分の根本的なやり方とずれていた。
大手3年目のある日、「嘘はつかない、が私のやり方です」って上司に話した。「個人的な感情を持ち込まないで」と返ってきた。
そのとき、「転職しよう」がはっきりした。怒りというより、「あ、ここじゃなかったんだな」という確認だった。条件を比べた論理的な決断じゃなくて、「共感できないやり方では続けられない」という感覚が先にあった。
転職直後の3ヶ月が、4年間で一番怖かった
26歳のとき、スタートアップに転職した。年収は下がることは最初から分かっていた。それでも後悔はなかった——転職した初日は。
怖くなったのは、2日目からだった。
大手時代は気づかなかったけど、周りが当たり前にフォローしてくれていた。先輩が同行してくれる商談、決まった提案フロー、困ったときに声をかけられる先輩の数。それが全部、一瞬でなくなった。
提案資料を作っていても「これで合ってる?」が止まらない。お客さんへのメールを送る前に何度も読み返す。小さい判断が全部自分に返ってきて、最初の3ヶ月は毎日これが続いた。怖かった、というのが一番正直な言葉だと思う。
大手時代の「怖さ」は「上司に怒られないか」という一点に絞られていた。ある意味でわかりやすかった。スタートアップに来てからの怖さは、もっと漠然としていた。「このまま成果が出なかったら」「向いてないのかもしれない」——答えが出ない問いが、ずっと頭のどこかにあった。3ヶ月を過ぎてから、「なにかわからない怖さ」から「この案件をどうするか」という具体的な問いに変わってきた。漠然とした怖さより、具体的なしんどさの方がまだ対処できる。そういう変化があった。
転職1年目の半ば、大口を失注した。その少し前に後輩も入ってきて、先輩として見られるプレッシャーも重なっていた。数字が全然出ない状態で、「大丈夫です」の顔をして、誰にも言えなかった 😔
立て直しのきっかけは、半年ぶりの既存客に一件だけ連絡したこと。「前回の悩み、その後どうなりましたか」って聞いたら「覚えてたんですか」と言われた。それだけだった。でも、そのときに「自分のやり方で通じた」という感覚が戻ってきた。
「失敗したら後に続く人がいなくなる」と思っていた
転職1年半でチームリーダーになった。社内初の女性チームリーダーだった。
プレッシャーに2種類あって、「ちゃんとリードしなきゃ」という普通の緊張感と、「私が失敗すると、この会社で女性がリーダーになる機会がなくなるかも」という重さが両方あった。後者がずっと頭にあって、変に力が入っていた。
完璧にリードしようとして、ぎこちなくなった。メンバーに「最近話しかけにくい」と言われて、正直ショックだった。「ちゃんとしようとしてるだけなのに」と思っていたから。代表にも「Yukiが遠慮してるの、なんか違う気がして」と言われた。
変わったのは、「わからないから一緒に考えたい」と素直に言えるようになってからだった。すると、メンバーとの距離が縮まった。なんか、1年目のときと同じことをやっていた気がする——向いてないを直そうとするより、自分なりのやり方を見つける方が早い。リーダーになっても、同じことを繰り返してた 🌿
代表から「最近いい感じだね」と言われたのは、それから少し後だった。特別なことをしたわけじゃなく、力を抜いただけで。力んでいたころの方が、数字も空気もよくなかった。「完璧にやろうとしない方がうまくいく」という法則が、リーダーになっても通用した。なんか情けないような、少し可笑しいような気持ちだった。
この時期にもう一個、後悔していることがある。給与交渉を1年間言い出せなかったこと。同期が面談で交渉して上がっていたことを後から知った。内容はほぼ同じなのに、言った人と言わなかった人で差がついていた。
言わなかった後悔は、思ったより長く残っている。
3年目のある日、「営業が嫌いじゃないかもしれない」と思った
チームリーダーになって少し経ったころ、3年ぶりに連絡してきたお客さんがいた。「転職したんですけど、また相談してもいいですか」と。
名刺が変わってもまた来てくれる人がいる——それがうれしかった。大手にいたころ「受注につながらない動き方」と言われていたものが、時間を置いてから意味を持って戻ってきた感じがした。こういうことが起きるから、このやり方をやめられないんだと思った。
4年間でいちばん営業という仕事が「自分のものだ」と感じた瞬間だったかもしれない。向いてる・向いてないはわからない。ただ自分のやり方で続けてきたことが、少しずつ積み上がっていると思えた。
変わったこと、変わらなかったこと
変わったこと。上司に褒められるかどうかを、自分の評価にしなくなった。代わりに、お客さんから直接もらう言葉が今の軸になっている。お客さんからの「ありがとうございます」のメールを消さずに残しておく習慣も、そのころからついた。しんどいときに読み返せるように。
変わらなかったこと。嘘はつかない。半年前の悩みを覚えておく。この2つは、大手1年目から今も変えていない。変えようとしたこともあったけど、変えられなかった。でも今は、それで正解だったと思ってる。
大手を辞めるとき「この2つを守れない場所では続けられない」と感じたのが転職の動機のひとつだった。今の職場でこの2つを続けられていることが、「ここに来てよかった」という一番の根拠になっている気がする。条件じゃなくて、やり方の話だった。
4年続けてきて、「向いてるかどうか」はまだはっきりわからない。楽しいがしんどいを少し上回っている、という状態は続いている。多分これからもそうだと思う。「もうやめたい」が来るたびに少しずつ薄れている気がするのは、しんどさの種類が変わってきたからかもしれない。1年目のころとは、怖さの色が違う。
5年目に何が変わるか、まだわからない。変わらないことの方が多いかもしれない。ただ「4年前に感じていた怖さ」とは、もう違う怖さになってきた。それだけは、確かだ。